スペインにある三ツ星レストランの舞台裏にカメラが潜入して撮ったドキュメタリー映画です。何とこのレストランは一年の半分の期間しか営業しません。後の半年は来期に出す料理に何を出すか、試作と実験に費やすのです。料理は作品、作る作業はまるで化学の実験みたい。キッチンはアトリエか実験室のよう。前に出したとかそれを改良した物とかは全く無しで全部が新しく創造されたものでなければオーナーシェフはOKを出しません。何しろお客は3時間の間に35品目もの料理を供されるのですから大変です。食べる人の意表をつくようなものでなければならないのですから技術を駆使し想像力とセンスとヒラメキと・・・。
映画の後半は店の再オープンの準備の様子から実際にお客さんが来て営業がスタートする場面が撮されます。45席しかないのにスタッフの多いこと。どれだけ手間暇かけて料理が作られるかわかります。前衛的な料理と言われるだけあって盛り付けは料理というより美術作品のよう。今ひとつ、私が映画を見ていてそれが何なの?って聞きたくなる様なもどかしさを感じたのはあまりにそこで作られる料理達が私たちが普通にイメージする料理とかけ離れているからでしょうか。
それにしてもオーナーシェフの飽くなき探究心と彼について行くスタッフたちのエネルギーには感心するばかりです。でも凡人の私にはちょっと息苦しく感じました。そこまで食材をひねくり回して作る料理が本当においしいのかしら。スローフードのブームに逆行しているようなこういう世界もまた一方にはあるということなのでしょうね。一年に200万件も予約が殺到していたこのレストラン、今夏に惜しまれながら閉店し、今後は「料理研究財団」に姿を変えるとか。